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23'

柿崎熙展 ~十勝獣走~

「大きな木」展示にむけて 

 野鳥の羽音や歌声にいざなわれるように森に分け入って、いつのまにか自然と親しくなった。生命(いのち)が蠢動する姿に触れるのは格別なものがあるが、自然は四季折々、たくさんの情景を見せてわたしを誘い、こわばった感性を解きほぐした。

 とくに、植物の種子の生命をつなぐ神秘におどろき、輪廻転生をくりかえすそのしたたかさと健気さに心打たれ、その感動はわたしの制作の原動力となった。

 タイトルもそれを意識して「林縁から」と名づけ、生命をテーマにカツラの木を彫ってインスタレーション作品の制作を続けている。

 いっぽう、1980年代に小樽の港や札幌豊平河畔での野外展に参加。場と交感する実験的な試みに魅了された。平面作家だった私が立体制作に向かうきっかけのひとつになった。それ以来、機会あるごとに野外制作を楽しんでいる。帯広のコンテンポラリ―アート実行委員会企画の愛国町防風林を舞台にした「防風林アートプロジェクト」や帯広の森での「ヒト科ヒト属ヒト」、小樽春香山のハルカヤマ藝術要塞などでは、生命感を鼓舞する作品を制作した。

 今回も、真鍋庭園の森の中を歩いたときに、木々の間をすばやく跳ね回るエゾリスが眼に留まり、幹を駆け上るその俊敏さに眼福を得た。コロナ禍が気になり分断化による社会の閉塞状況もあったので、自由闊達に動き回るその姿がいっそう勇躍に感じられた。

 庭園の木立の中で、生き物たちのたくましい生命感を享受してほしいと構想した。制作した造形物をとおして森と交感し、生命(いのち)の愛しさに思いを馳せていただけると嬉しい。

Spring

Dates: 5/1-7/31

Total Duration: 3Month

Time:May 08:30am - 17:00pm

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